明治変革の秘史を今に伝える中津川市新町の「桂小五郎隠れ家址」(旧料亭やけやま)が、郷土の食と文化、歴史が融合する“ファインダイニング(高級料理店)”に生まれ変わりました。
築約200年、半世紀以上使われていなかった歴史的建造物をリノベーションし、先月、「桂小五郎隠れ家跡 やけ山」をオープンしたのは、JR中津川駅前のそば処「更科」の4代目社長鈴木貴実隆さん(50)。
小学校の通学路にあり、幼い頃から特別の思いを抱いてきたこの建物を借りられることになり、半年がかりで修復。歴史的価値に見合うよう、「ゆうに新築店舗が建つほど」投資しましたが、「よくぞ、中津川宿の宝を守ってくれた」と賛同する人も多く、物心両面で支えられたといいます。
鈴木さんは大学卒業後、食の道を極めようと上京。修行に明け暮れましたが「上には上がある」ことを思い知らされ、12年前Uターン。その時初めて、食べ慣れた故郷の味こそが全国に誇れるグルメであることを実感。山菜やキノコ等を都内の飲食店に卸し、地元の食文化を発信する事業にも着手しました。
「やけ山」では、そうした逸品食材の生かし方を熟知した地元出身の料理人が腕を振るい、旧やけやまの貴重な食器類等を使って提供。多彩な地酒も用意され、「中津川の文化を味わい尽くす」贅を堪能することができます。
「地元を離れてみて、『新たに作ることができない物こそ真の財産』であることに気づいた」と鈴木社長。「この店がリニア時代の切り札になり、地元の文化に誇りを持っていただくきっかけになれば」と話しています。
同店は完全予約制(1万5000円―)で、料理の提供は午後6時から。同9時からはバーとして営業します。問い合せは℡0573(64)2882へ。