16日、4年ぶりに開催される中津川市蛭川の「杵振り花馬まつり」。その最後に安弘見神社の石段を駆け上がって祭りを締めくくる神馬と花馬を、今年、13年ぶりに地元の馬が務めます。実現させたのは村瀬信治さん(71)・雅俊さん(44)父子=田原=の熱意。移住者の小西竜司さん(34)=柏ケ根=も協力し、2頭そろって祭りを盛り上げます。
杵振り踊りの後、金の幣束を背負った神馬と「しない花」を背負った花馬が石段を駆け上がり神社に奉納する儀式は、祭りに欠かせないクライマックス。起源は数100年前と言われますが、約60年前、耕運機の普及などで村内(当時恵那郡蛭川村)に馬がいなくなり、やむなく中止。約10年間、杵振り踊りだけの奉納が続き、1970年に復活させたものの、馬は村外から借用。1983年―2020年は地域の人が祭りのために飼育した馬を提供しましたが、以降は白川町の馬主から借りていました。しかし4年前、この馬主が体調を崩したため馬を譲り受けることになり、その際同行したのが村瀬信治さん。花馬保存会員らが祭りの前、馬が苔で滑って足を痛めないよう境内の石段を洗う姿に感動。協力しようと、経営する牧場の施設や技術を生かしてその馬を飼うことにしたのです。
ところが翌年からコロナ禍で祭りは中止。その間に馬が亡くなってしまい、代わりにと購入した馬は群衆におびえる性質で断念。それでも花馬を出す夢は諦めず、一昨年秋、北海道で観光用に飼われていた道産子のユキ(向かって左)を購入。主に雅俊さんが、手塩に掛けてきました。
神馬は、3年前、観光牧場を開くため名古屋から移住した小西さんのポニーに務めてもらうことになり、この日初顔合わせ。花馬保存会(永冶兼明会長、12人)会員らが見守る中、手綱を取った村瀬雅俊さんは「やっと父の想いが果たせることになり感無量」。53年前、復活後初の祭りで花馬を引いた永冶会長は「神馬・花馬は祭りの要。地元で飼っていただき本当にありがたい。若い保存会員も増えているので、再び途絶えることのないよう努めていきたい」と話していました。