桂川荘平さん(89)=加子母=は65年前、桂川木工所を創業。以来、薄板一筋で、折箱の蓋や包装材の経木、名刺など、さまざまな製品を手掛けてきました。
材料は材木の状態で仕入れ、玉切りにして乾燥させた後、加工。「機械が命」と手入れを怠らず、大根の桂むきの要領で折箱の蓋などを作るロータリーは、57年間故障知らず。経木を加工するスライサーは38年間使用しており、どちらも今では入手できないといいます。
同業者は加子母、付知に数々ありましたが30年ほど前、安価なプラスチックに凌
駕され仕事が激減した際廃業し、今では桂川さんだけ。
ところが近年、マイクロプラスチック問題で包装材や皿などの注文が急増。桂川さんの薄板を使ったうちわやはがきが、名古屋市の温暖化防止普及啓発グッズに採用されるなど大口の注文が入ることもあり、妻の良子さん(83)と2人で奮闘しています。
さらにこのほど、付知町のゴシンボクが、東濃ヒノキの薄板を使ったノベルティグッズ「ヒノキ縁つなぎの栞」を発売。
「結び目には神が宿る」の伝承にならい魔除けとされる麻の繊維を結んだ栞で、ヒノキの生葉を挟み、日本古来の折り方で包装。東京の薬局、岩手の呉服店、埼玉の家具店などに納品しました=写真。
「加子母の木が多くの方に使っていただけるのが励み」と桂川さん。「健康が許す限り薄板を作り続けたい」と張り切っています。栞の問い合わせは☎0573(64)8881へ。