恵那市上矢作下の「いしかわイチゴ農園」では、間伐材を燃やした熱でイチゴを栽培。木質バイオマスを利用した循環型農業で山を守り、矢作水系の源流を守る取り組みが注目されています。
中央アルプスの愛南端にあたる上矢作は矢作水系の源流域の一つ。代表の石川右木(ゆき)子さんは5年前、林業に携わる人から、「木がお金にならないため山が放置され、年々荒れていく」という現状を聞き、このままでは流域の人々の生活に支障が出ると危惧。これまで化石燃料を使っていたイチゴ栽培の熱源を、間伐材に変えようと決意したのです。
昨年1月から準備して6棟、2000平方㍍のビニールハウスを新設し、イチゴ本来の味を生かしながら作業効率も考慮した高設・土耕栽培で、章姫と紅ほっぺ25000株を栽培。
薪ボイラーと薪ストーブを導入し、森林保護に努める地元のNPOから間伐材の薪を購入。真冬は氷点下10度近くになる厳寒の地でハウス内を5度に保ち、ボイラーで沸かした湯をイチゴが植わった土の下に通して「ゆっくりじっくり」栽培。
糖度が高く味の濃いイチゴは、大きなもので1粒40㌘以上あり、直売所などで販売し全国に発送しています。
いちご狩りは、45ある全長70㍍のレーンが貸し切りで安心。取ったイチゴでパフェを作って食べられるよう、無料のトッピングも用意されています。石川さんは「今のところコストは同程度。山を守ることが下流の多くの方の水源を守ることにつながれば」と話しています。