いのちを育む日本の山は、私たちの手で守る―
林業従事者は、ここ約40年間で10万人以上減少。65歳以上が約4分の1と高齢化が進む中、恵那市上矢作町の安藤林業(安藤雅人社長)では、志を抱いて就業した“林業女子”たちが活躍し、新風を吹き込んでいます。
垂井町出身の桑原佐季さん(25)=写真右=は3年前、岐阜大学生産環境科学課程を卒業し、新卒で入社。林業を志したのは、森林環境等を学ぶ授業の一環で、チェーンソーの資格を取得したことがきっかけ。
10人の社員中初の、そして唯一の女性。重機を運転中、作業路から落ちかけたり、安全装備のパンツをチェーンソーで切ったりしたこともありましたが、今では安藤社長も「伐倒の腕は男性以上」と認める実力。重さ7㌔のチェーンソーで、高さ30㍍、重さ1㌧もある樹木をわずか1分間で倒し、7種類の重機を駆使して搬出。昨年から、現場責任者を任されています。
そんな桑原さんを紹介する報道番組を見て林業に興味を持ち、今年2月に入社した松久真悠さん(27)=写真左=は、愛知県半田市出身。保健師・看護師として活躍する中で自然が人に与える影響を意識し、「人と自然の健康バランスを追求してみたい」と考えるように。桑原さんの姿に背中を押され「真っ向から自然に向き合おう」と、林業の世界に飛び込みました。
出勤時間は朝6時半。一つ間違えば命に係わる仕事ですが、「森林を健全に保つことで災害のない地域や、豊かな川・海づくりに貢献できるのは誇り」と2人。安藤社長は「機械を使って体力的ハンデをカバーできる時代。女性が加わってくれたことで職場が明るくなり、林業の可能性も広がりました」と期待を寄せています。