“豚熱(ぶたねつ)禍”で県内の野生イノシシのジビエ利用ができなくなって4年。豚熱対策のさまざまな条件をクリアし、県内で3番目に営業を再開した中津川市苗木のジビエ加工処理施設「苗木ジビエ」では、鎌倉のイタリア料理店などから受注が続々。樋田進一代表(78)は、「中津川を“ジビエのち”に」と張り切っています。
樋田代表は20代で狩猟免許を取得し、有害鳥獣駆除にも協力。半世紀近くイノシシ、シカ等を捕獲し、独学で加工技術を習得。脂の乗った冬場の獣肉は、自らさばいて食用にし、家族や友人に好評を得てきました。
そこで、リニア中央新幹線開通に向け、「ジビエを中津川名物にしよう」と、県の獣肉処理流通モデル事業を受けて施設を作り2018年に開業。ところが半年後、野生イノシシに豚熱感染が認められ、県内の野生イノシシの狩猟・利用が禁止。休業したままになっていました。
しかし、昨年8月、県の承認事業者がマニュアルに基づいて処理等を行い、検査で陰性が確認された個体であれば出荷できることになり、いち早く申請。厳重な審査をクリアし、昨年11月に承認されてからは、73の点検項目を遵守して処理。一頭一頭、血液検査の結果を確認後、出荷しています。
営業を再開すると、以前、試食品として提供していた飲食店等から相次いで受注。樋田さんは「陽性が出ると営業停止になるなど予断を許しませんが、ジビエを地元の食文化として広めていきたい」と話しています。