中津川市付知町に147年続く老舗割烹旅館「上見屋」の一角が、ミュージアム機能を備えた拠点施設「付知地域デザインミュージアム」にリノベーション。15、16両日、開館を記念し、モビリティサービス(自動車の移動や運搬をスムーズに行うためのサービス)「付知bin」の社会実験が行われます。午前10時―午後6時。
中津川市は令和2年度から、東京大学交通・都市・国土学研究室と共同で、付知町地区での自動運転技術活用を見据えた研究を進めています。内閣府未来技術社会実装事業の採択を受けて国土交通省をはじめ各省庁の支援を受け、令和3年末には、予約アプリを活用したデマンド運行(予約制輸送サービス)の社会実験も行われました。
「付知地域デザインミュージアム」(127平方㍍)は、交通工学が専門で地方のまちづくりに詳しい同研究室の羽藤英二教授が、国道256号沿いの道の駅「花街道つけち」から、旧街道沿いの「熊谷守一つけち記念館」、「付知銀座商店街」を結ぶ新たな拠点として発案。
旧街道に面した歴史的建造物の一階で通年、地元の農産物直売所やカフェを営業し、付知の映像やグッドデザイン賞受賞作品などを展示。道路を挟んだ向かいの駐車場は、芝生と水盤でデザインされた憩いの空間「辻広場」に整備されます。
館内のカフェは上見屋6代目・早川篤志社長(43)の長男で明治大学商学部2年生の雅さん(20)がプロデュース。下呂市の名店「緑の館」の豆を使ったコーヒーや、インターネット通販で人気の上見屋の「岐阜プリン」が入ったソフトクリーム等を提供します。
開館記念でクーポン付きモビリティサービス
15、16両日は開館記念で、モビリティサービス「付知bin」の社会実験を実施。無料の予約制タクシー型車両(有人)を町内全域(一部を除く)でデマンド運行するのに加え、道の駅「花街道つけち」から15分間隔でシャトルバスを運行。利用者に付知銀座の商店で使用できる買い物クーポンを進呈します。また、中津川駅前から北恵那バスを利用して来場する人には、特製の木簡切符を限定販売予定。辻広場では純国産自動運転車両「Milee(マイリ―)」の展示会を開きます(走行実験はしません)。
早川社長は「創業以来の大改革が起爆剤になり、新たな付知ファン確保につながれば」と期待を寄せています。