恵那市明智町の市民三学明智委員会が、江戸幕府編纂の史料等に基づいた郷土史解説冊子を刊行し、町内の全世帯に配布。同市観光協会明智支部が再編集した『明智姓の始まりと光秀誕生』(A4判、64㌻、カラー刷り、800円)を4日、発売しました。
同委員会は、郷土の先人佐藤一斎の「三学の精神」を実践する市民三学地域塾(塩田肇塾長)を主催。NHK大河ドラマ『麒麟がくる』の放映が決まった平成30年度は、町内の明智光秀ゆかりの地を巡って歴史を学び、令和元年度は国史跡金山城跡を視察するなどしてきました。令和2年度はコロナ禍にあっても、光秀ゆかりの地に住む町民に史料考証で読み解いて郷土愛を育み、次代に伝承してもらおうと冊子を制作。
内容は2018年に刊行された『明智光秀 東美濃物語~光秀四十五の謎~』の著者で地元出身の郷土史家・籠橋一貴さん=土岐市、写真前列右=が書き下ろした「美濃国恵那郡淡気郷明智村を領した明智遠山氏と土岐明智氏のつながり」についての解説文と系図、明智に伝わる口碑伝承の抜粋で構成。
籠橋さんは、従来の“光秀本”が「明智軍記」「美濃国諸旧記」等作者不詳の書物に基づいて書かれていることに疑問を持ち、幕府の史料等を調査・研究。多くの口碑伝承を参照し、「明智姓は恵那市明智町の『明智』に由来し、明智町こそ光秀生誕の地である」という説を導き出しました。
同書には、企画・編集も担当した小澤一広さん=明智町、写真同左=が撮影した史跡や文化財の写真も数多く掲載。
同市観光協会明智支部(松井千明支部長)では、購入を望む歴史愛好家や観光客の声に応え、土岐市・瑞浪市・中津川市の山城を紹介するページを加えるなど再編集して発売したものです。
「地元の方々に『同時代の資料や、郷土史に基づいた光秀の出自を知ってほしい』という思いで書きました」と籠橋さん。25日には明智コミュニティセンターで籠橋さんの講演会(定員20人)も開かれる予定で、関係者は「2023年の大河ドラマ・徳川家康で再び光秀が脚光を浴び、明智町が注目されるのでは」と期待を寄せています。
同書は明智振興事務所、大正村観光案内所、えなてらす(恵那駅前)で取り扱い。問い合わせは℡0573(54)2111明智振興事務所。