中津川市の特定非営利活動法人「ゑな」(曽我はづき代表理事)が、旧苗木藩主遠山家の邸宅を購入。「風流踊り」の元となった絵図等が所蔵され、先人たちの想いが詰まった歴史遺産を活用し、後世に伝えようと活動を始めました。
遠山家邸宅は維新の大改革が落ち着いた明治44年、旧苗木藩の元家臣や、旧領地の有力者らでつくる「会」が尽力して建設。翌大正元年に完成すると14代目の遠山友郷さんが入居。15代目の健彦さんが昭和48(1973)年に亡くなり、夫人の賀壽子さんが市内の高齢者福祉施設に入所するまでは遠山家の住宅として活用されていました。
しかしその子孫は苗木を離れて約20年間空き家になり、地域の人々が草刈りをするなどして維持。遠山家は中津川市に買い取ってもらうよう交渉していましたが折り合いが付かず、ついに昨春、売りに出されたのです。
SNSでそれを知った曽我代表理事らは、長年地域を治めてきた遠山家の名残を留め、城下町の中核を担う邸宅を守ろうと決意。購入してまちの活性化に活用し、恵那山を中心とする地域の歴史・文化を継承して魅力を発信していこうと「ゑな」を設立しました。
趣旨に賛同した40人ほどの寄付で資金を調達し、当主の17代目・友博さんの意向もあって昨年末、売買契約が成立。1月30日には、関係者が集まり、遠山邸改修・保全活動の出発式となる「ゑな祈願祭」を催し、約2000平方㍍の屋敷と庭の清掃を行いました=写真上。今後も毎月、保全活動を行う計画で、苗木遠山史料館・旧藩主邸が残る城下町と結んで苗木城の魅力がさらに高まりそう。曽我理事長は「先人から受け継いだ遠山家をシンボルとして、後世に残る豊かな環境をつくっていきたい」と話しています。