中津川市駒場の元小学校教諭・志津栄子さんが、「第23回ちゅうでん児童文学賞」優秀賞を受賞しました。
市内の小学校で教壇に立っていた志津さんは、坂本小学校に勤務していた4年前、病に倒れて入院。「子どもたちが大好きで、仕事を生きがいにしていた」だけに心身のダメージは大きく、「毎日、泣いて暮らしていた」といいます。
辛い闘病生活の中で、初めて児童文学に取り組むきっかけとなったのは、家庭環境などから特に気にかけていた、かつての教え子。その思い出をモチーフにした作品がコンクールで入賞したのが、作家としてのスタートでした。
しかし、その後も病を繰り返し早期退職。その時、「1、2年生を担任した子どもたちが卒業するまでの2年間に、100編の作品を書く」と心に誓ったのです。
その後、自分との約束通り150編近い作品を書き、数々のコンクールで入賞。日本児童文学者協会・日本児童文芸家協会の会員として活躍するようになり、作品は銀の鈴社「ものがたりの小径」の選集に収録。昨秋、Amazonの電子書籍(kindleアプリで講読)で、『お母ちゃんのだんぱつ式』『サクラマジック』『画鋲』『ネリケシこぞう』を発表。『鈴村さんとせな』は近日公開されます。
『ルドルフとイッパイアッテナ』の作者として知られる斉藤洋さんら著名作家が審査する「ちゅうでん児童文学賞」には、長編の『由佳とかっちゃん』で応募。大賞に次ぐ、優秀賞を受賞したものです。
「さよならも言えずに別れた」坂本小の教え子の招きで、昨年秋、彼らの小学校最後の運動会を見学し、「胸が熱くなった」という志津さん。
「子どもたちとの思い出が創作につながり、生きる支えになっている」と、延べ約10年間勤務した坂本小学校に賞金の20万円を寄付。
「『私のこと、僕のことを書いて』という子どもたちの声に突き動かされて書いている作品。手軽な電子書籍を多くの方に読んでいただきたい」と話しています。