獲物を狙う迫力満点のハチとクモ―
実はボロシリケイトガラス(耐熱ガラス)を使ったバーナーワークの技法による造形作品。作者の近田卓真さん(30)=恵那市明智町吉良見=は幼い頃からものづくりが好きで、恵那南高校在学中、テレビで見た恐竜の骨格を作るガラス職人に憧れ、長野県の美術専門学校に進学。
ガラス工芸を学んだ後、東京の工房で修行し、2013年、第8回「ジャパンランプワークソサイエティ『空と海』」で入選し、著名な銀座のギャラリー田中でも作品を展示。しかし、手間暇がかかるガラス工芸に限界を感じ、6年前Uターン。自宅敷地内に工房を開き、一昨年は、三越本店で開かれた「未来の巨匠による桜展」に出品し、高い評価を得ました。
現在は一般企業に勤めながら休日に制作し、「APIS GLASS」の名でHPを開設。耐熱ガラスの食器やバーナーワークの昆虫などを紹介し、販売もしています。
昆虫の作品は、どの角度から見ても実物に見えるよう、生態を研究。目の鋭さや触角の向き、胴の立体感などにこだわって各パーツを制作。最後に同じ温度にして張り合わせますが、ボロシリケイトガラスは2500度の高温で加工後、5時間かけてゆっくりさます必要があり、その過程で割れてしまうこともしばしばで「ハチ(215㍉)だと、1カ月に1匹完成できるかどうか」。
近田さんは、「ガラス工芸は一瞬の勝負で、まったく同じ作品はできないところが魅力。壊れやすいため工夫が必要ですが、地元の皆さんに実物を見ていただける機会もつくりたい」と話しています。
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