中島工務店(中島紀于社長 本社・中津川市加子母)が、440年ぶりの大修理やそれに伴う歴史的発見で話題を集めている御嵩町の願興寺本堂(国指定重要文化財)を解体する”世紀のプロジェクト”をを成功させました。
願興寺は815年、天台宗の開祖・最澄が布施屋(無料宿泊所)を建てたのが始まりとされ、本堂と本尊の薬師如来坐像などが国の重要文化財に指定されています。寺伝によれば、本堂は戦火で2度焼失し1581年に再建。440年が経過し、老朽化が進んだため、10年計画で全解体修理工事が行われているのです。
しかし、通常の解体工事とは違い「使える部材を再利用して再建する」一大プロジェクト。国の重要文化財だけに失敗は許されず、多くの文化財、古刹の修復にあたってきた中島工務店が施工を任されました。
まずは2018年、工事中の建築物を保護するための素屋根の基礎工事に着手し、本堂解体作業前には柱や床板、壁板等すべての部材に番付を記し「番付図」として記録。
本尊を安置する宮殿(くうでん)は曳家で移動。壁板を外すと、墨で書かれた無数の落書きや打ち付けられた羽子板などが現れ、参拝に訪れた旅人による「天正六年」(寺伝では天正9年再建)との墨書もあって「歴史を変える発見」と話題を集めました。
同社では腐朽著しい壁板や墨蹟を保護するため、さまざまな「養生」を行った上で丁寧に解体。今年1月末までかけ、慎重に作業が進められました。
途中、地元住民や学校対象の現場公開を行ったことがきっかけで、TOKIOの城島茂さんと、Hey!Say!JUMPの伊野尾慧さんが進行するNHKの番組『解体キングダム』の取材を受け、1月と3月に放映。大きな反響を呼びました。
本堂解体工事に携わった中島工務店専属大工の田口保則さんは、「400年前、焼き討ちされた寺を何とか再建しようと奮闘した人たちの思いが伝わり感動しました。こうした工事に携わることができたことを誇りに感じます」と話していました。