13日(日)、恵那市三郷町野井の武並神社例大祭で、市有形民俗文化財「重箱獅子」が奉納されます。
重箱を基にした獅子頭をつけて踊るユニークかつ由緒ある獅子舞を奉納するのは「20歳の青年男子」と決められていましたが、少子化で年々担い手が減少。年齢の幅も広がる中、今年、講元を務める西組では、親子2代で獅子舞を奉納する大学生らが「地域の宝を守ろう」と稽古に励んでいます。
「重箱獅子」は広さ25畳ほどの拝殿で、金色の頭の雄獅子と銀色の頭の雌獅子がシンクロして踊る、ダイナミックな獅子舞。
由来は定かではありませんが「戦国時代、武田勢に敗北し野井まで追い詰められた徳川家康が、武並神社大祭の酒宴で、箱をかぶって獅子舞の真似をしていた里人に紛れて追っ手を逃れた」のが始まりと伝えられています。
今年、舞い手を務めるのは、愛知学院大学1年の宮地健正(けんせい)さん(18)と中津川工業高校1年の南歩夢(あゆむ)さん(16)。阿部大和さん(16)と宮地敦也さん(14)は舞台を清める役を担います。
指導に当たるのは、健正さんの父親で団体職員の智正さん(45)と、同級生で会社員の鈴木孝昌さん(46)で、ともに獅子舞の経験者。当元は地区内の5組が回り持ちで務めており、今年で20年、4回目の指南役となります。
木と和紙粘土で重箱を模して作られた獅子頭は外部がほとんど見えず、2人で息を合わせて踊るのは至難の業。
さらに重さ4㌔ほどの獅子頭を床すれすれまで下げた低い姿勢でゆっくりと舞うのは、想像以上の重労働。2人の指導者も、「稽古中の2カ月半は筋肉痛に苦しんだ」と言いますが、「『重箱獅子のふるさと』と言われる野井の伝統を絶やしたくない」と後継者育成に力を込めます=写真。
9月22日、お囃子をバックに初めて拝殿で通し稽古を行った宮地さん、南さんは汗びっしょりで、「部活より大変」。それでも本番を間近にひかえ、取り組む表情は真剣そのもの。
当日は午前10時からの神事に続いて浦安の舞、獅子舞が奉納。氏子総代会長の安藤元宣さん(77)は、「一説に450年続くともいわれる重箱獅子を、地域で力を合わせて継承していきたい」と話しています。